高齢者の財産を守る

 

 

 

 あなたは高齢になりました。テレビで言われているように、孤独なあなたは優しくしてくれると、ついつい何でも言うことをきいてしまうようになりました。必要もない高価な布団を買ったり、時には全財産を投資してしまったりします。後見制度が使える前に、騙されてしまえばおしまいです。

 

今までですと、認知症になってしまってから、後見制度を利用するということが多かったのではないでしょうか。しかし、信託なら、元気なうちに、自分で信託を設計できます。後見制度は、家族の者が後見人になれるとは限りませんし、財産が多ければ、家族の中から選ばれた後見人のほかに、専門職の後見監督人がついてしまうことがあります。そうすれば当然報酬が発生します。

 

 また、信託では、あなたが亡くなった後のことを決めておくことができます。信託があなたの死によって終了した時の残った財産の帰属者を決めておくことができます。要するに、あなたは自分自身の生活と遺言を確かなものにしておくことができるのです。

 

 

 

【事例】

 

 あなたは財産の管理に不安がありますが、幸い、しっかりした息子がいます。あなたは財産を不動産も含めて、受託者になってくれる息子に託します。不動産の所有権は息子に移転します。しかし同時に信託の登記がされますので、信託された不動産であることはわかります。これで息子の土地になったということではありません。信託された財産は誰のものでもありません。強いて言えば受益者であるあなた自身のための財産です。あなたは信託財産を息子に委託し、且つ信託財産から得られる利益を息子から受け取る受益者になりました。これを自益信託と言います。このような信託もできます。そして亡くなるときのことを考慮して、亡くなった時の財産の帰属者を息子にしておくのです。

 

 あなたに息子のほかに娘もいたとします。その場合は、娘の遺留分を考慮して、最後の財産の帰属の割合を決めてください。