法務局自筆遺言書保管制度

 

 自筆証書遺言を預かってくれるところはありませんでした。弁護士に頼むとか友人に頼むとかしていたのでしょう。公正証書遺言は公証人役場が預かってくれます。ただ公証人の手数料がかなり高額です。財産の額に応じて変わりますのでいくらですということはできません。今でも公正証書遺言のほうが遺言としてはいいと思います。それは公証人が遺言の内容をチェックしてくれるからです。しかし普通、遺言の内容が公序良俗に反して無効だなどという遺言をする人は稀です。ごく普通の内容ならこの法務局が自筆証書遺言を預かるという制度を使えばいいと思います。そしてこの制度は自分一人でも手続きできます。

 あなたが亡くなったとき、あらかじめ指定しておけばどなたか一人にあなたの遺言書があるということを通知してくれます。相続人の一人か遺言執行者に通知されるようにしておいてください。

 また相続人の一人が遺言書の閲覧をしたり、遺言書情報証明書(遺言の中身が分かります)の交付を受けたりした場合、そのほかの相続人全員に遺言書が保管されている旨通知されます。

 またこの遺言書であれば家庭裁判所での検認の手続きは不要です。検認は現在の遺言書がどのような状態になっているか確認し、以後の改ざんを防ぐためのものです。家庭裁判所に申し込んでから普通1か月以上待たなければなりません。この遺言書であればすぐに不動産の登記ができますし、金融機関で相続の手続きをすることもできます。

 以下に遺言書を預けるときに必要なものを挙げておきます。

 

  1 遺言書(ホチキスで止めないでください)A4で作成のこと

  1 保管申請書(法務局のウェブサイトで取得してください)

  1 住民票の写し(本籍・筆頭者の記載があり、マイナンバーや住民票コードの記載のないもの) 

  1 外国語で遺言書を作成された場合、日本語に翻訳したもの

  1 運転免許証、マイナンバーカードなどの身分証明書

  1 手数料は3900円です。

 

 

 なお遺言書の内容について法務局で相談することはできません。私の事務所では遺言書作成と法務局への保管申請に関して、補助します。個人でできる仕事ではありますが、私に依頼すると費用も含めて全額で5万3900円です。なお、法務局には私と同行していただかなくてはなりません。